なでしこ最大の試練、8強オーストラリアFW陣が「海堀に圧力をかける」

なでしこ守護神の精神的動揺を狙う

 オーストラリア代表が、女子ワールドカップカナダ大会決勝トーナメント初戦オランダ戦の試合終了間際にミスから失点を喫した日本代表GK海堀あゆみ(INAC)の精神的動揺につけ込む算段を立てているという。オーストラリアは、27日(日本時間28日)の準々決勝でなでしこジャパンと対戦する。オーストラリア地元紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」が「オランダ戦の不手際の後、オーストラリアは日本のGK海堀あゆみに試練を与える」という見出しで報じている。
 「美しい」「芸術的」と世界中で絶賛を呼んだオランダ戦の勝利だが、後半アディショナル タイムになでしこに試練が待ち受けていた。相手FWファン・デ・フェンの力ないヘディングシュートは海堀の正面を突いたが、まさかの後逸。ファインセーブでチームのピンチを救ってきた守護神も顔を覆った。この失点は致命傷にならず、日本は2-1で勝利したが、マチルダス(女子オーストラリア代表の愛称)は、そこに付け入る隙があると思ったようだ。
 今大会4試合出場1アシストのオーストラリアFWミシェル・ヘイマンは「あれは気の毒だった。でも、あれは間違いなく彼女の最高のプレーではないのだから、すべての場面でチェイスしなければいけない。でも、彼女には少し残念に思う。ボールを落とした時にいかに落胆していたか、彼女の目を見れば分かった。でも、彼女は2-0でリードしていて本当 にラッキーだった」と語ったという。
 まさかのミスを犯した、なでしこの守護神に同情する配慮を見せながらも、そこは勝負の世界。GKへのバックパスにはプレスをかけ、ミスを誘発させようとする狙いだ。
 今大会4試合出場で3得点を決めているFWキア・サイモンも「プレッシャーの高い試合になる。どんな選手でも圧力を受ければ、いつ何時、彼女たちが崩壊するとも限らないと思う。試合序盤に彼女にプレッシャーをかける価値は間違いなくある」と、開始直後から守護神に強烈な圧力をかけていく戦略を明らかにしている。

 オランダ戦で花開いた「女性版バルセロナ」と、前回大会優勝時に称された美しい連係だけが、日本の武器ではない。今大会4試合で全て1点差勝利を飾ってきた、粘り強さ、勝負強さこそが前回覇者の証しでもある。準々決勝で今大会最大の試練を迎えることになる、なでしこジャパン。佐々木則夫監督は失点以外で好プレーを見せた海堀を先発させるのか、1次リーグに続くローテーション起用を続けるのか。そして、体格に優れる相手の前線からの圧力をいかにかいくぐるのか。こういった要素が勝負の分かれ道となるかもしれない。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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