【データ分析】柴崎の「仕掛けるパス」が生んだ戦術的柔軟性 日本の勝利の方程式は「ザック+ハリル」
柴崎が突出していた「得点の匂いのする場所」へのパス
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改めて、この日の日本代表の試合はある意味、特殊な環境での試合だったことを思い出して欲しい。言うまでもなく前半3分にC・サンチェスが一発退場となり、アディショナルタイムを含む約90分を11人対10人で戦ったということだ。
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前半こそ、コロンビアも体力的に余裕もあり、日本も数的優位を上手く生かせなかったため、ポゼッション率は日本52%対コロンビア48%だったが、後半の日本はポゼッション率を67%にまで高めた。こうした勝ち点3をもぎ取るために願ってもないチャンスに対して、各選手のこの試合における陰の立役者をサッカーデータの80%を占めるパスのデータから探ってみる(DATA-2参照)。
日本のパスの数は吉田麻也が最も多く、続いて長谷部誠、同数の柴崎、昌子源と後方のセンターライン4名が占めている。パスの成功率も柴崎を除き90%を超えていた。しかしInstat Pointで最高点だった柴崎のパスの質は、他の3名とは大きく異なっていた。
柴崎の75本のパスのうち38本、約51%のパスはアタッキングゾーンへのパス、ペナルティーエリアへのパス、つまり得点の匂いのする場所へのパスだったことになる。当然相手がしっかり守備を固めているエリアへのパスなので、成功率は下がる。それでもそのエリアへのパスの成功率は68%だ。同じデータで他の3人と比較すると、長谷部のアタッキングサード+ペナルティーエリアへのパスの比率24%(ただしペナルティーエリアへのパスは1本で失敗)で成功率67%、吉田は11%で成功率20%、昌子は8%で成功率83%と、3人の「ビルドアップのためのパス」と柴崎の「仕掛けるパス」の数の違いが浮き彫りになっていた。
香川も全体のパス数は44本と多くはないが、そのうちほぼ半数の21本が攻撃エリアへのパスで、キーパスの数も柴崎と並んで5本、成功率は80%だった。酒井宏、長友の両サイドバックも攻撃エリアへのパス数に加え、クロス数は長友2本、酒井宏4本で、このあたりがポイントの高さの要因だった。
パスの面からのみ見ると、この日の大迫は70分以上出場した選手の中で最もパスを出した数が少なく、成功率も低かった。19本のパスを出しているが、受け取ったパス数は28本だ。28本のパスを受け、14本しか味方につなげなかったことになる。5本のシュートを打っていることを考慮しても、28本中19本と約3分の1のボールを失っていたことになる。5本中3本のシュートが枠に飛び、2得点に直接絡むという点では十分にストライカーとしての役割を果たした。
一方、戦術面においては1トップのポストプレーヤーとして前線の選手にしっかりボールをつなぐ役割が与えられていたはずだ。しかし大迫→香川へのパス数は0本、香川→大迫へのパス数2本と必ずしもセンターの縦関係がホットラインとして機能していなかったことになる。