コロンビア戦“金星”の舞台裏 W杯5度目の日本人コーチと科学的コンディショニング
科学的データを民族の特性に合わせていかに活用するか
日本代表の選手は、毎日のように検尿や血液検査で疲労度をチェック。これは2010年南アフリカW杯から採用した。その他にも「ハートレートモニター」という腕時計のような機器で心拍数を確認しながらダッシュの速度を上げたり、ロシアW杯アジア予選からは「デジタル・ブラジャー」というGPSを利用して走行距離や走行強度、拍数などで選手の疲労度を数値化し、怪我の予防に努めたりした。様々な科学的データを収集して各選手の体調を把握・管理している。これらはブラジルW杯でも採用されたが、問題はそうしたデータをどう生かすかだ。
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4年前、アルベルト・ザッケローニ監督が率いる日本代表のフィジカルコーチを務めていたのは、イタリア人のエウジェニオ・アルバレッラだった。ザックジャパンがグループリーグで敗退した原因として、アルバレッラコーチの大会前の練習で負荷がきつすぎたことが指摘された。
データに変化はなくても、民族の特性により利用方法は変わってくる。
2015年に発足されたバヒド・ハリルホジッチ監督体制のチームでは、フィジカルコーチにシリル・モワンヌ、コンディショニングコーチに早川直樹というコンビだった。早川コーチにしても、シリルコーチに意見を言いにくかったことは想像に難くない。
ハリルホジッチ前監督は、さらに体脂肪チェックのためインビーダスとキャリパーという測定方法も導入。しかし志半ばで契約解除となったため、モワンヌコーチもチームを去り、ロシアでどのような調整をしようとしていたのか、今となっては分からない。
六川 亨
1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。