コロンビア戦“金星”の舞台裏 W杯5度目の日本人コーチと科学的コンディショニング

日本代表は様々な科学的データを基に、体調の管理をしている【写真:Getty Images】
日本代表は様々な科学的データを基に、体調の管理をしている【写真:Getty Images】

日本とコロンビアの明暗を分けたコンディションの差

 日本代表は6月19日のロシア・ワールドカップ(W杯)の初戦で、4年前のブラジル大会で1-4と完敗したコロンビアに2-1の勝利を収めた。日本は開始3分に大迫勇也の突破からチャンスをつかみ、シュートは相手GKダビド・オスピナにブロックされたものの、こぼれ球を香川真司がワンタッチシュート。これがMFカルロス・サンチェスのハンドを誘い、PKを獲得すると同時にサンチェスは一発退場となった。

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 試合後のホセ・ペケルマン監督、西野朗監督とも、「10人対11人の戦い」が明暗を分けた要因だったと指摘した。しかし、それを差し引いても、この日のコロンビアの出来は酷すぎた。現地時間午後3時キックオフのため、28度という気温が体力を消耗させたのかもしれないが、それは日本も同じだ。

 では、どうしてここまでコンディションで差が出たのか。

 コロンビアの練習を取材していないので詳細は分からないが、前日の記者会見でペケルマン監督は「W杯は(ヨーロッパの)シーズン後に行われる。たくさんの試合後の大会となる。選手は医学的には問題なく体調も整っている。練習で疲れている選手もいるが、それがW杯。明日のスタメンはいくつかの変更を行うかもしれない」と話し、チーム状況が必ずしも良好ではないことを窺わせた。

 対する日本は、ベースキャンプ地のカザン入りしてから冒頭15分しか練習を公開していなかったが、選手らの話を総合するとフィジカルを上げるようなトレーニングは皆無。攻守のセットプレーの確認やゲーム形式での戦術確認など、コンディション調整に主眼を置いたものが多かった。日に日に気温が上昇するカザンやサランスクでスタミナが持つのかどうか懸念もあったが、結果的に杞憂に終わった。その理由としては、次のようなことが考えられる。

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六川 亨

1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。

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