ドイツは「ゲーゲンプレッシング」を捨てる? 伏兵はカメルーン? ブラジルW杯展望

<カメルーン>

 指導者一人の力で急激に選手それぞれの力が爆発的に上がることはありません。しかし単純な個人戦力の足し算がチーム力になるわけではないサッカーというスポーツにおいて、優れた監督の与える刺激が数々の相互作用を生み出し、チーム力が予想以上に跳ね上がることはありうる話です。

 カメルーン代表で指揮をとるのは、日本でもお馴染みのドイツ人監督フォルカー・フィンケ。準備期間ではグループリーグと同じ間隔で親善試合を3試合組み、合宿を通してチーム作りを熟成させてきました。ドイツ代表との親善試合では組織された守備からスピードと個人技を生かしたカウンターが何度も見られ、上々の仕上がりであることを示していました。

 忘れてはならないのはやはりサムエル・エトー。前線で見せる相手守備との駆け引きは円熟の極みにあります。体を張ってキープし、味方選手の攻め上がりを引き出すだけではなく、鋭く詰め寄ろうとする相手の裏をとって単独でスペースに抜け出す動きも秀逸です。

 またエリア内での洞察力にも優れたものがあります。私の敬愛するデットマール・クラマーさんは優れたストライカーの条件として「自分の周りで人が動いているときはじっと息をひそめ、周りの動きが落ち着いた瞬間に動き出す感覚だ」と説明しましたが、まさにそれができる選手です。

 W杯ボーナス額をめぐりブラジル行きの飛行機への搭乗を拒否するなど相変わらずのゴタゴタぶりはありますが、熟練の大黒柱と老獪な指導者の存在がカメルーンを光り輝かせてくれるのでは?とひそかに期待しています。

 

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