ドイツは「ゲーゲンプレッシング」を捨てる? 伏兵はカメルーン? ブラジルW杯展望
<イタリア>
私が初めて見たワールドカップは1994年アメリカ大会。この大会で大活躍したロベルト・バッジョとフランコ・バレージの両雄のプレーに惚れ込み、それ以来イタリア代表が大好きです。
いつの時代も洗練された守備組織が軸。以前イタリアの指導者の方から「2対2での守備戦術には200のバリエーションがあり、それを育成層から徹底的に教え込まれる」と聞いたことがありました。数の多さそのものにではなく、ひとつの状況を設定し、そこから起こりうるバリエーションを徹底的に分析し、それを自分たちのベースにまで落とし込んでいることに彼らの哲学と美学を感じ、深く感銘をうけたものです。
またイタリアの戦い方で特徴なのは、「必ずこれは通る」と確信したパスばかりを前線に送るのではない、という点です。ポーンと高く浮かせたボールだったり、相手CBが下がりながらヘディングクリアをしなければならない位置に蹴りこんだりと工夫をし、味方にも渡りにくいが相手選手も処理しづらいボールを蹴り込む。
そうすることで相手のミスを誘発し、そこからボールを素早く展開してゴールを狙う。こうした駆け引きから一気に試合の主導権を握ろうとする狡猾さが彼らにはあります。
今大会に臨むプランデッリ監督が率いるイタリア代表のサッカーは非常に攻撃的でもあり、ピルロを中心としたテンポの良いパスワークからバロテッリら攻撃陣がフィニッシュを狙います。イタリアらしい伝統のカテナチオと狡猾さと、今の代表が見せるパスサッカーが高次元で融合したら、タイトル獲得も可能かもしれません。