なでしこジャパンのDF有吉佐織は23日(日本時間24日)、チームを8強進出に導く先制弾を挙げた。日本は、カナダで開催中の女子ワールドカップ決勝トーナメント1回戦でオランダと対戦し、2-1で勝利を収めた。有吉は、1次リーグのスイス戦、エクアドル戦に続いて右サイドバックで先発出場し、この試合で決めた得点がうれしい代表初ゴールとなった。 ゴールシーンは前半10分、左サイドから宮間がクロスを上げ、大儀見がヘッドで狙うと、ボールはクロスバーに当たって跳ね返る。それに、走り込んだ有吉が右足を振り抜くと、強烈なシュートは相手GKの手を弾いてゴールネットを揺らした。 有吉は 代表初得点を振り返り、「最初だったので思い切り振っていこうと。思い切り打ったら入ったので本当に良かった」と笑顔をはじけさせた。 佐賀県出身の有吉にとっては、今大会がW杯初出場。鹿児島の名門・神村学園高から日体大へと進学。学生屈指のFWとして08年北京五輪の代表候補に入るなど、早くから注目を浴びたが、故障などで大舞台には縁がなかった。なでしこリーグ日テレに加入後はサイドバックにコンバート。この大事な一戦で、日体大時代に「キング」の愛称で呼ばれた点取り屋の本能が呼びさまされた。 4-3-3で両ウイングのスピードを生かそうとするオランダに対し、有吉は守備でも右サイドで奮闘。持ち前の身体能力を発揮し、快足ウイングのFWマルテンスに決定的な突破を許さな い安定した守備を見せた。試合終盤に1失点こそ喫したが、「失点はゼロで終わりたかったんですけど、次に生かしたい」と、準々決勝のオーストラリア戦を見据えた。 チームも、1次リーグの3試合よりも小気味よくパスがつながる、なでしこらしいサッカーを展開。「今日は距離感も良く、ワンタッチ、ツータッチでボールが動いてたので、流れの中で点を決めることができて良かった」。27歳のニューヒロインが、2011年ドイツ大会に続く連覇を目指す、なでしこジャパンに大きな勢いを与えた。 【了】 サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images