黒星発進の韓国、19歳W杯デビューのイ・スンウに見出す希望「恐れを知らない末っ子」
スウェーデンに0-1敗戦、後半28分から投入され輝きを見せる
ロシア・ワールドカップ(W杯)のグループF初戦でスウェーデンに0-1で敗れ苦境に立たされている韓国代表だが、後半28分に投入された“韓国のメッシ”イ・スンウ(ベローナ)の動きを称賛する母国メディアが目立った。
総合ニュースサイト「スターニュース」は、「“恐れを知らない末っ子”イ・スンウが見せ場を作るには、あまりにも時間が短かった。しかし、彼の強烈な一発はファンの苦しみを解消した。20年前のFWイ・ドングク(全北現代)を思い起こさせた」と報じた。
かつてバルセロナの下部組織でプレーしていたイ・スンウは、今大会の韓国代表にサプライズ選出された。スウェーデン戦はスタメンではなかったが、後半28分にMFク・ジャチョルに代わってピッチに投入。相手の堅守に苦しんでいた韓国に攻撃のリズムをもたらし、ゴールを匂わせる動きでチャンスを演出した。
同サイトは「イ・スンウはボールがない場所でも積極的に動いた。攻撃の形を作るのに苦しむ状況で、チャンスを作ろうと努力した。後半36分には強烈なシュートを放った。相手DFの体に当たりCKとなったが、素早い動きから放たれたシュートは、なかなか動かない試合を見ていた人たちに気持ちの良い一発をプレゼントした」と伝え、イ・スンウの今後の活躍に期待を寄せていた。
またイ・スンウの印象的なプレーを、今も現役でプレーするFWイ・ドングクと重ね合わせ、「イ・スンウは、約20年前のイ・ドングクのようだった。1998年フランスW杯、オランダとの2戦目でイ・ドングクの強烈なミドルシュートを思い出した。0-5で負けている状況で、イ・ドングクのシュートが印象的だったからだ。当時、イ・ドングクは19歳2カ月でW杯デビューした」と報じた。
スウェーデンに敗れた韓国は、メキシコ、ドイツと強豪との連戦が続く。グループリーグ突破が厳しい状況に変わりないが、フレッシュな若手の活躍がチームに活気と希望をもたらすことを韓国国民は期待している。
(金 明昱 / Myung-wook Kim)
金 明昱
1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。