コロンビアの“要注意人物”ハメスの凄さとは? ドイツ在住日本人コーチがプレーを分析
守備におけるポジショニングも向上
加えて試合の流れを読むことができる点も、高く評価されるべきところだろう。とはいえ、バイエルンに加入した頃のハメスは、まだプレーが途切れ途切れだった。時折素晴らしいプレーを見せたかと思うと、不用意なドリブルでボールを失ってしまう。だが、それもユップ・ハインケス監督が来て、チームの戦い方に順応するための時間をじっくり与えてもらったことでしっかりと克服した。今では非常にバランスの取れたプレーを見せている。
ボランチでもインサイドハーフでもトップ下でも、どこで起用されても柔軟に対処する。特に守備におけるポジショニングが向上し、試合の流れに絡み、ゲームをコントロールしながらチャンスメイク、ゴールメイクに頻繁に顔を出す。
コロンビアの至宝は成熟さを増し、一段上のレベルの選手へと成長を遂げている。
[著者PROFILE]
中野吉之伴
1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。