W杯初戦の先発の可能性が浮上する酒井宏樹 「自分もできるという思い」

 日本は前日、ベースキャンプを張るイトゥ近郊のソロカバ市のスタジアムでブラジル上陸後初練習を行った。酒井は、そのときの紅白戦で、香川、本田、長友ら主力組が集うビブスなし組に入って連係を確認した。その選考には、ザッケローニ監督が不測の事態に備え、酒井の抜擢も視野に入れていることがうかがい知れる。

 日本の右SBと言えば、内田篤人(シャルケ)の独壇場となってきた。しかし、内田は右太腿裏肉離れによる離脱から、壮行試合となったキプロス戦(5月27日・埼スタ)で約3か月半ぶりの実戦復帰を果たしたばかり。復帰後の3試合では90分のフル出場が一度もない状況でW杯本番を迎えることになった。ここからコンディションを回復させ、ベストな状態へと仕上げていけるかに不安も残している。

 酒井は9日、報道陣からサブの現状について聞かれると、こう言葉にした。

「選手を決めるのは監督だし、篤人くんの存在はリスペクトしている。その中で、自分もできるという思いもないといけない。(立場を)理解しているし、そこは迷いなくプレーできている。サブになったとしても何ができるかだと思う」

 酒井のこの「自分もできる」、「サブに“なったとしても”」という言葉の端々からは、ポジション奪取への思いが十分に伝わってくる。ブラジルは09年、所属の柏からモジミリンECに4ヶ月間の短期留学し、それまで務めていた左SBから右SBへとコンバートされた思い出の地でもある。酒井は原点となった地で、進化と成長を証明する。その運命的な巡り合わせに引き寄せられるように、彼は再びサッカー王国で人生の岐路に立っている。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

※ワールドカップ期間中、サッカーマガジンゾーンウェブが記事内で扱うシーンやデータの一部はFIFAワールドカップ?公式動画配信サイト&アプリ『LEGENDS STADIUM』で確認できます。
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