一流守護神がW杯で犯した痛恨ミス 失点生んだ「二つの視点」を元日本代表GKが指摘
「もっと早く準備し、もう10センチ右に軸が作れていたら…」
土肥氏によれば、予想の範疇を超えたシュートにデ・ヘアは面食らい、シュートブロックに入れなかったDF(セルヒオ・ラモス、ジョルディ・アルバ)にも、W杯初戦の重圧があっただろうと見解を示す。
「(デ・ヘアが)もっと早く準備し、あの場面でもう10センチ右に軸が作れていたら防げた失点でした。それに言うまでもなく、DFもシュートを打たせないということが大事。ただ、初戦ということも加味すれば、体が重くてDFもその一歩が出なかったのかもしれません」
一方で、「あれはGKのミスですが、試合を通して見れば、ロナウドが奪った得点と言うのが正しいかもしれません」と、“もう一つの視点”について土肥氏は語る。
ロナウドは、前半4分に先制PKを決めると、前線から降りてきてパスを散らし、リズムを作った。しかし、ここぞの場面では全速力でゴール前へと駆け込む姿が何度も見られた。デ・ヘアにとっては痛恨のミスだが、それを呼び込んだのは虎視眈々とチャンスを狙っていたゴールマシンの飽くなき執念だったと言えるだろう。
「PKの場面もそうですが、高額な年俸を受け取るだけの価値がある選手。だからこそ、(シュートを)打たせてはいけない。何が起こるか分からないわけですから」
国の威信を懸けて戦うW杯には、超一流の駆け引きが存在する。試合の機微を読んだロナウドに、この場面では軍配が挙がった。元日本代表GKも、ゴールに愛される男のワンプレーに「凄い」と感嘆の声をもらしていた。
(FOOTBALL ZONE編集部)
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