34歳イニエスタがW杯で見せた“知性” 名手リトバルスキーも称えた「向上した能力」とは
イスコを生かし左サイドのバランスを維持「戦術遂行力は極めて高い」
スリリングなドローゲームの主役は、両軍ともにエースストライカーだった。ポルトガル代表はレアル・マドリードFWクリスティアーノ・ロナウドがハットトリックを達成。一方のスペイン代表は、アトレチコ・マドリードFWジエゴ・コスタが2ゴールの大暴れとなった。
もちろんイニエスタも、757本のパスをつなぎポゼッション率66.5%を記録したスペインのなかで、攻撃の局面に多く絡んでいた。だがリトバルスキー氏の目には、なぜバルセロナの時のような絶大な影響力を放つ存在として映らなかったのだろうか。
「彼はチームプレーヤーです。彼はそのシステムに自分を落とし込もうとしていました。それは本当に重要なクオリティーです。そしてチームにはイスコがいました。彼はより前方でプレーするので、イニエスタは下がり目のポジションを取ることになります。戦術的に彼は低いポジションでボールを受ける役割になります。深い位置から、前方の選手を探していました。それでも、チームが彼の存在を必要とした時には、必ず前に出て、ストライカーをサポートしていました。戦術遂行力としては極めて高く、彼の動きはインテリジェンスを漂わせていましたね」
リトバルスキー氏はこう語った。シュートやドリブル突破などで強みを持つイスコを生かすために、イニエスタは深い位置取りで左サイドのバランスを維持していたと指摘。機を見て高い位置に進出し、最前線のコスタらをサポートするあたりには、フットボールIQの高さが示されていたという。
70分間プレーした34歳は、世界屈指の名門バルセロナで質の高いプレーを続ける難しさを告白していたが、実際に衰えが見られたのだろうか。