若き浦和のスピードスター関根 今季ブレークを支えた向上心
「また頑張っていかないと」
浦和レッズのMF関根貴大は、ファーストステージ制覇を決めたアウェーの神戸戦(ノエビアスタジアム)で先発フル出場を果たした。1-1と引き分けに終わったものの、2004年以来のステージ優勝の瞬間をピッチの上で迎えた。
試合後、関根は「どうやって喜んでいいのか分からなかった。ただ僕のゴールではなかったので、次に向けてまた頑張っていかないといけない」と、試合を振り返った。優勝を決めた試合にもかかわらず、ゴールへの強い意欲を口にするなど、満足した様子はない。
「まだファーストステージの最後が残っている。無敗でこのまま行ければいいなと。去年に比べてスタメンで出る回数が増え、それだけの責任を感じていた。自分が出てこうやって結果を残せたことは素直にうれしい。よくできた方かなと思う」
ここまで15試合に出場して4得点を挙げるなど、2年目にして主力級の活躍を披露する関根。5月には3試合連続得点を記録するなど出色の出来で、月間MVPも初受賞した。
20歳の若さで、すでにチームへの責任感も芽生え、充実の時を過ごしている。さらに、「今は調子が良いと感じているが、ここからが勝負。うまくいかなくなったときにどれだけ、工夫してやれるかが大事になる。そういう意味でもいろいろ考えながら頭を使ってプレーしたい」と、そうしたおごらぬ姿勢も活躍につながっている。
この日もアウェー神戸に、多くのサポーターがスタジアムに駆けつけた。関根はそうした人々への感謝も忘れていない。思えば、関根のJリーグデビュー戦は2014年シーズンの第4節エスパルス戦。この時は、一部サポーターの人種差別的行為による処分によって無観客で行われた一戦だった。だからこそ、サポーターの応援に対する感謝も強い。
「厳しい試合でしたが、サポーターの声が力になった。気持ちにも余裕ができて最後まで戦えたと思う。ひとり一人がやるべきことをやれていた。引き分けでしたけど、結果につながって良かった」
休む間もなく、セカンドステージの戦いが始まる。2位サンフレッチェとの勝ち点差は5。34試合と長い目で見れば、決して安心できる差ではない。リーグ王者に向け、成長著しい若武者は気持ちも新たに後半戦の戦いに挑む。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images