エース大儀見が決勝弾 永里亜紗乃とのW杯姉妹同時出場は、男女通じて日本サッカー史上初

1次リーグ3戦フル出場。全勝にも笑顔なし

なでしこジャパンのエースFW大儀見優季(ヴォルフスブルク)が16日(日本時間17日)の女子W杯カナダ大会1次リーグ第3戦エクアドル戦で、今大会初ゴールとなる決勝弾を挙げて1−0勝利に貢献した。妹の永里亜紗乃(ポツダム)が後半途中出場したために、日本サッカー史上初となるワールドカップ姉妹同時出場も達成している。

エースの大会初ゴールは前半5分に生まれた。宮間が左サイドから上げたクロスに対し、ニアサイドで菅澤が競ったこぼれ球を体ごと押し込み、先制ゴールをマークした。
「早い時間帯で取れたことは良かった」
こう振り返った一撃が、貴重な決勝点になった。また、後半35分には妹の永里が交代出場。兄弟姉妹同時出場は男女を通じて日本サッカー史上初となった。

結果のみならず、その過程にこだわるストイックな姿勢は大舞台でもブレない。「(得点を)奪えたことよりも、どうやって奪ったかが大切。その点ではまだまだ納得できないところがいっぱいある」

試合後は厳しい表情でこう語った。

実際、チームとしては1次リーグ2試合で大量16失点を喫していたエクアドルを相手にわずか1得点に終わった。相手に20本のシュートを浴びせた中でも、明確な決定機は数えるほどしかなかった。なでしこの武器である連動性、技術、ゴール前でのアイデアが今大会フィールドで輝きを放つことができない。

「どこで勝負を仕掛けるのかというところで、なかなかスイッチが入らない状態が多かった。そういった回数を増やさないと、チャンスも得点も増えない」

攻撃の組み立てに修正の余地を残していると感じている様子。グループリーグの3試合合計4得点。いずれも薄氷を踏むような一点差勝利。思うようにゴールは奪えていない。

エースとしての重圧を背負っている。2009年6月にドイツ・ポツダムに移籍すると、日本人として初めてUEFAチャンピオンズリーグで優勝。しかし、地元開催となった前回の2011年ドイツ大会では気負いも目立ち、大会初戦のニュージーランド戦で挙げた1得点に終わった。自身のプレースタイルとチーム戦術の狭間で苦しみ、準決勝以降はスタメンの座を失った。優勝を果たし、日本中がなでしこフィーバーに沸く中、悔しさも残す大会になった。

大会後には結婚し、登録名も「大儀見」に改めた。ロンドン五輪で銀メダル獲得の原動力となると、翌シーズンには日本人で初となるブンデスリーガ女子で得点王に輝くなど、女子サッカー界屈指のFWとしての地位を確立した。

23日(日本時間24日)から始まる決勝トーナメントと世界の頂点を見据えながら、あえて厳しい表情で多くの課題を語ったエース。チームの攻撃を機能させ、大儀見の得点力を引き出すことが、なでしこの連覇へ向けての大きな鍵になる。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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