ハリル監督、茫然自失のスコアレスドロー。相手守護神に脱帽
1990年イタリア大会以来となるW杯予選のドロー発進
無念さを全身で表現した。日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督は16日のW杯アジア二次予選初戦シンガポール戦で、ベンチ前で何度も叫び声を上げた。日本代表がシュートを外すたびに、飛び上がり、ペットボトルを地面に投げつけた。FIFAランク154位の格下に52位の日本がホームでまさかのスコアレスドローに終わった。
57533人が詰め掛けた埼玉スタジアムが観衆のため息と試合終了直後に降り始めた雨に支配される中、指揮官は試合後は茫然自失の表情だった。
「私のサッカー人生でこのような状況に陥ったことがないので、少し説明するのは難しい。本当に、こんなにチャンスを作り続けたんですが。選手は勝つために全てを出してくれました。得点が一つ足りなかっただけです。得点が入れば全く違う状況になったと思います。ちょっと辛い状況ですが、全然下を向く必要はないし、がっかりする必要はないと思います。シンガポールで絶対に勝とうと思います。」
最後に何とか前を向いた。圧倒的な猛攻を見せる中、非情な采配も見せた。後半16分には背番号「10」を背負った香川を真っ先に下げ、大迫を投入した。4−2−3−1システムから2トップシステムに切り替えた。
27分には柴崎を下げ、原口をトップ下の位置に送り込む。後半33分には宇佐美の代わりに武藤を投入。前線に迫力を加えようとしたが、相手GKマフブードが見せる鬼神のセーブにはじき返された。
「少しゴール前で慌てたことと、正確性。それから、少しの運。向こうのGKも褒め称えなければいけない。6点は止めたと思う。こんなGKはあまり見たことがない」
決定機を食い止め続けたマフブードに脱帽するしかなかった。日本代表のワールドカップ予選初戦のドローは1990年イタリア大会予選以来。1989年5月22日の香港戦(香港)も0−0ドローだった。この予選での日本代表は1次リーグで敗退している。
ハリル新監督就任後、比較的楽な相手にホームで3連勝を飾ってきた日本代表だが、快勝が期待されたW杯予選の初戦でドローという失望を味わった。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
荒川祐史●写真 photo by Yuji Arakawa