なでしこジャパンのエースの本懐 大儀見が今大会初得点を目指す

4年間で増した激しいマークと、責任感

 なでしこジャパンのFW大儀見優希は、日本時間の15日、女子カナダ・ワールドカップ1次リーグ第3戦のエクアドル戦に向けてエースとしての自負をにじませた。今大会開幕から2戦連続で先発出場し、安定したポストプレーでチームを支えてきた。だが、得点は生まれず、今大会初得点を渇望している。
 試合前日の会見場は、隣に座った佐々木則夫監督の一言によって笑いに包まれた。指揮官は、3戦目の課題について「ゲームの流れを感じながら試合運びをできるか。攻撃に対する意識をもう少し高めていけるか。この2点に尽きる」と、語った。
 そして、滑 らかな口は、こう続く。
「あと、隣の人(大儀見)が点を取ることですね」
 大儀見は、それに苦笑いを浮かべ、「(第2戦の)カメルーン戦ではあまりチームとしてシュートに持っていくことができなかった。ボールは持っていても、フィニッシュまで行くことができないことが多かった。イメージの共有であったり、崩しの部分であったり。エクアドルはブロックを引いて守ってくると予想される。グループで連動したコンビ、クロス、いろいろな形でアイデアを出せればいい」と答えた。
 この4年で、押しも押されもせぬ、日本のエースへと成長した。当然、周囲の期待も大きくなった一方で、試合でのマークは厳しさを増している。
「ここ数年、W杯に入ってから、だいぶ厳しくこられ ているなと。ファウルする勢いでくる選手もいる。厳しくなっていると思うが、その分周りの選手は空いている」
 その言葉通り、今大会は正確な技術を生かして攻撃の起点として前線で機能的な役割を担っている。その姿からも、これまでの地道な努力の跡がうかがえる。だが、大儀見は、この4年間でたくましさとともに、責任感も増した。背負うエースの宿命を受け入れ、凜(りん)とした言葉でこうも語る。
「空いた選手を生かしつつ、自分も生きたいと心がけている」
 エースの本懐を遂げるため、なでしこのストライカーは歓喜のゴールに心を傾けていた。連覇に向けて、いよいよ大儀見がギアを上げる。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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