日本代表は4年経って“振り出し”に戻った W杯メンバー23人に見る迷走ぶりとは?
ガーナ戦で再確認した日本の弱点と、ロシアW杯で採用すべき戦術
ガーナとの壮行試合に0-2で敗れた翌日、ロシア・ワールドカップ(W杯)の日本代表メンバー23人が発表された。大方の予想どおりの人選とはいえ、気になるところがある。
ガーナ戦のメンバーから外れたのは浅野拓磨、井手口陽介、三竿健斗の3人だった。浅野に関しては使いどころがはっきりしなかったのかもしれない。スピードが武器なので、カウンター狙いの展開になれば打ってつけだが、日本がリードされれば使いどころがない。井手口はガーナ戦で起用されたがコンディションが十分でないという判断。三竿は経験不足ということだろうか。
気になるのは、守備型のMF二人を外してしまったことだ。
ガーナ戦を見る限り、W杯での日本の戦い方は一つしか考えられない。ディフェンスラインを自陣ゴールから30~35メートルに設定し、コンパクトな守備で奪ってハーフカウンターを仕掛けること。ガーナ戦の戦い方の延長では、日本は大きな弱点を抱えたままになるからだ。
不慣れな3バックだったことを差し引いても、日本は相手のカウンターアタックに弱い。相手陣内へボールを運ぶことはできても、そこからフィニッシュへつなげる道筋が見えない。つまり、日本のパスワークはつなげばつなぐほど相手のカウンターにさらされるリスクが大きくなる。これでは失点するためにポゼッションしているようなものだ。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。