ウェイン・ルーニーの逆襲 英メディアの中で膨らむ「限界説」を吹き飛ばせるか
2人の元イングランド代表FWもルーニーに対して厳しい見方
しかし、もちろんこの兄貴分の苦言は、ルーニーの奮起を促したものではないかという考えもある。
それはスコールズが同じ発言内で、「もしも監督がベストのウェインを欲しているなら『中盤に下がるな、最前線に留まれ、センターフォーワードの位置に留まれ、そしてゴールを決めろ、それがお前の仕事だ』と伝えるべきだ」と話していることでも推測できる。
ところが英メディアは「最前線に留まれ」と、スコールズがルーニーに復活のヒントを与えたコメントには全く注目せず、限界説ばかり膨らませた。
低調に終ったペルー戦後は、元代表の名ストライカー2人がルーニーに注文をつけた。
ひとりはアラン・シアラー。1990年代のイングランドを牛耳った豪脚FWで、今も『260』というプレミア通算ゴール記録を保持するシアラーは、イングランド大会となった自身のユーロ96での体験からこう語った。
「不調のまま96年ユーロを迎えて、当時のベナブルズ代表監督にこう言われた。『初戦は使うが、それ以降はお前次第だ』と。今、ルーニーも同じことを言われるべきではないか」
さらにメキシコW杯の得点王で80年代のアイドル・ストライカーだったギャリー・リネカーは、「もはや1トップの位置はスターリッジのもの。しかしNO.10(トップ下の)ポジションには、ルーニーの他、スターリング、ララナという選択もある」と語り、代表での不調が続くルーニーは、もはや不動のレギュラーではないと示唆した。
そんな状況下で、ルーニーは、本人が「嫌い」とされる左サイドで先発した。まるでホジソン監督がリネカーの「トップ下は他にもいる」という発言を参考にしたようなポジション変更だった。