広島MF青山敏弘、3年ぶりの代表サプライズ選出 苦悩から這い上がった“再生”の舞台裏
決定的な仕事をする役割からチーム全体をコーディネートするバランサーへ
「真ん中にいる自分がボールを受けていかないと、チームは機能しない」
以前の口癖だ。その言葉は、森保一監督時代やミハイロ・ペトロヴィッチ監督時代においては、まさにその通り。青山のポジションにボールが集まらないと攻撃は成立しなかった。
だが、2018年バージョンの青山は、ボールを受けてそこから決定的な何かをするというスタイルから脱却し、チーム全体をコーディネートする役割を引き受けている。攻撃時にボールを頻繁に触って創造するのはサイドハーフのMF柴崎晃誠やMF柏好文であって、そこにMF稲垣祥が絡む。では青山は何をしているのか。常に良いポジションをとってサポートする。状況を見てボールを受けるべき時は受け、時に速攻、時に遅攻と緩急のリズムをとる。走りたがる稲垣が前に出れば、そのリスクマネジメントを行う。
「相手にボールを持たれてCBが引き出された時、自然とアオがそのカバーに入るんです。この動きは気づきにくいかもしれないんだけど、こういうプレーをウチの若いボランチには身体に染み込ませてほしい。本当に素晴らしい」
指揮官はこう称賛する。ただ、こういうプレーは実は、以前の青山にはなかったことだ。自分は攻撃の選手であり、前を向いて違いを作り出してナンボ。そういうスタイルから攻守の舵取り役、本物のボランチへと戦術的な進化を遂げた。
そのうえで身体が動き始めた今の青山は、以前の「エンジン」と呼ばれた頃の縦横無尽さも取り戻しつつある。開幕戦の時のスプリント回数は4回だったのに、第13節のヴィッセル神戸戦(2-0)では17回を記録。第11節のV・ファーレン長崎戦(2-0)では左サイドで柏を追い越し、深い位置まで侵入しクロスを入れた。昨年はほとんど見られなかったが、かつてはよく見たプレーだ。