「理想の上司」No,1女子をやる気にさせる 心のマネジメント
男性と女性で異なる 「山頂」へのルート
男と女は、すれ違いを繰り返してきた――。
男性上司と女性部下(あるいはその逆)の間にも、見えない心の溝が存在する。分かりやすい例えは、登山だ。山の頂上は一つでも、登山道は複数ある。男性と女性は脳を含めた身体的な特徴に違いがあり、そのため「登りたい」「登りやすい」と感じる最適なルートにも違いがある。
ところが多くのリーダーは、このように複数のルートが存在することに気づいていない。男性ならば男性用のルートしか頭に入っていないケースが多いのだ。しかも男性社会で実績を積み、出世を遂げたリーダーほど、「男性には登りやすいが、女性には登りにくい」ルートを女性に登らせてしまっているように感じる。 「俺についてこい」は、旧来の男性リーダーの決めゼリフだったかもしれない。
しかし、その登山道が、男性リーダーの視点による男性用ルートだったなら、女性は「苦手なやり方で問題解決に挑む」という試練を与えられ、心にブレーキをかけながらアクセルを踏むという状態に陥る。無論、本人の能力を引き出し、伸ばすには効率が悪過ぎる。 挙げ句、「この道は苦手だな」と感じている女性に向かって、「楽をすることばかり考えるな」とまで言ってしまったら、女性は「そんなつもりじゃないのに…」と大きなショックを受けるだろう。
そのせいで「競技(仕事)をやめたい」と、悲しい決断を口にされたら、誰にとっても不幸な結末としか言いようがない。実際、悪気はなくともそのような接し方をした指導者の下で、「私、やめます」「○○ちゃんがやめるなら私もやめます」と、選手が全くいなくなってしまったチームもあると聞く。