香川復活でドルトムントの攻撃に迫力を… ファン待望の“レシーバー”、最終節で輝けるか
ドイツ誌は最終節ホッフェンハイム戦に出場する可能性を報道
トーマス・トゥヘル、ペーター・ボスといった監督の下で、香川真司は主力の一人に数えられていたわけではない。だが今季途中の昨年12月に、ペーター・シュテーガー監督が就任してからはレギュラーポジションを獲得し、7試合で3ゴール2アシストと結果を残していた。数字だけではなく、攻撃の起点として機能していただけに、2月以降に左足首の負傷で離脱となったのはチームにとっても痛かった。
ドイツ紙「デア・ヴェステン」は、「香川の負傷離脱後、チームの中盤からスピードとダイナミックさをもたらし、狭いスペースでもボールを収めることができる選手がいなくなった。チームの攻撃が停滞したのと無関係ではない」と、香川不在時の影響を指摘。スポーツディレクターを務めるミヒャエル・ツォルク氏も、「負傷するまでシンジはとても効果的なプレーをしていた」と語っていたことがあった。
現在のドルトムントは選手それぞれのコンディションと、その日の調子に左右されている。流れが上手くハマった第31節レバークーゼン戦では相手を一方的に追い込んで4-0と快勝。シュテーガー監督も「私がドルトムントに来て以来のベストゲーム!」と胸を張った。
ところが、続く第32節のブレーメン戦は1-1の引き分け、第33節マインツ戦は厳しい残留争いの渦中にいる相手の激しさを前にミスも重なり、1-2で敗れた。
安定感があるとは言えないチーム事情では、状況に変化を加えられる選手の存在が不可欠だ。調子を取り戻していた香川なら、そのプラスアルファを加える存在になるかもしれない――そんな復帰を待ち望むファンの声もあった。だがトレーニングに合流できても、また負傷箇所に痛みや違和感が生じてしまう。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。