ELにこそ“夢がある”!? 「中途半端な欧州王者」を決める大会の意味とは?

“おらが街のクラブ”が欧州王者になるチャンスが残っている

 だが、ELには依然としておらが街のクラブがヨーロッパ王者になるチャンスが残っている。優勝こそビッグクラブだが、フルハム(イングランド)、ブラガ(ポルトガル)、アスレチック・ビルバオ(スペイン)、ドニプロ(ウクライナ)が決勝に進出しているのだ。ヨーロッパのファンでさえ大して関心を持たないELだが、地元ファンは大いに盛り上がる。フランスではリーグ優勝したパリ・サンジェルマンそっちのけで、マルセイユの決勝進出で盛り上がった。

 マルセイユはフランスで唯一、CL優勝経験を持つ。CLに改称した最初の大会(92-93)の優勝クラブだった。もしアトレチコに勝ってEL優勝を果たしていれば、フランスで「サッカーの首都」を自負する街がどんな騒ぎになっていたか想像もつかない。また、酒井の名がマルセイユで伝説として語り継がれることになっていただろう。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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