ELにこそ“夢がある”!? 「中途半端な欧州王者」を決める大会の意味とは?

UEFAヨーロッパリーグトロフィー【写真:Getty Images】
UEFAヨーロッパリーグトロフィー【写真:Getty Images】

マルセイユの酒井宏樹、日本人史上2人目の「EL優勝」ならず…

 ELの前身であるUEFAカップで、2001-02シーズンにMF小野伸二(現・北海道コンサドーレ札幌)がプレーしていたフェイエノールト(オランダ)が優勝している。2017-18シーズン決勝のアトレチコ戦、マルセイユが勝てば、日本人としては酒井が二人目という快挙だったが、惜しくも優勝には届かなかった。ELは、CLの下位にあたる大会として知られている。ただ、この「EL優勝」がどういう位置づけなのか、ピンとこない人も多いのではないだろうか。

 もともとは「フェアーズカップ」という大会だった。第1回大会は1955年、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の前身であるチャンピオンズカップと同じタイミングで始まっている。ただ、フェアーズカップは終了までになんと3年もかかっていて、決勝は58年、バルセロナが優勝している。ただ、この第1回大会は都市対抗戦だったのでバルセロナ選抜だった(といっても、エスパニョールの選手1名が含まれていただけだが)。

 第2回大会からはシーズンごとの開催となって、バルセロナ(こちらはFCバルセロナ/スペイン)が連覇している。フェアーズカップはその名のとおり、物産展と合わせて開催されていたので第1回大会は時間がかかりすぎていたようだ。

 UEFAカップになったのは1971-72シーズン、トットナム(イングランド)が優勝している。欧州カップ戦はリーグチャンピオンが出場するチャンピオンズカップ(C1)、カップ戦の覇者によるカップウィナーズカップ(C2)、C1、C2出場チーム以外のリーグ上位クラブが出場するUEFAカップ(C3)の3種類で定着した。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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