長野の女子サッカーを変えた“1ゴール” パルセイロ社長が明かす集客力の秘訣とは?

2015年、長野Uスタジアム(南長野運動公園総合球技場)にて開催されたイタリア女子代表との壮行試合は、1万4千人以上の観衆を集めた【写真:Getty Images】
2015年、長野Uスタジアム(南長野運動公園総合球技場)にて開催されたイタリア女子代表との壮行試合は、1万4千人以上の観衆を集めた【写真:Getty Images】

なでしこリーグで躍進する長野、流れを変えた2015年の代表戦

 なでしこリーグの中で、ここ数年の注目チーム、急上昇チームと言えるのがAC長野パルセイロ・レディースだ。2010年に大原学園JaSRA女子サッカークラブからクラブ移管を行ったチームは、チャレンジリーグから着々と力をつけ、13年には黎明期の日本女子サッカーを支えた選手で、女性として初めてS級ライセンスを取得した本田美登里監督が就任。16年になでしこリーグ1部昇格、さらに初年度で3位に入るなど、旋風を巻き起こした。

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 クラブの堀江三定代表取締役社長は、その経緯を「長野地域は、女子は一生懸命やっている人がいながらも日の目を見ない状態だった。Jクラブがあることで地域が元気になる、盛り上がる活力になればいいと。男子のJリーグだけでなく、女子も含めて地域の中にサッカー文化やサッカーによる盛り上がりを高めようと」と話した。すでに男子チームとしての活動をスタートしていたなかで、女子チームが発足する運びになった。

 ブレイクスルーのきっかけは、誰もが知るなでしこジャパンの2011年ドイツ女子ワールドカップ(W杯)優勝だった。それに加え、この長野地域にとっては少し特別な事情もある。それが15年5月、本拠地である長野Uスタジアム(南長野運動公園総合球技場)にイタリア女子代表との壮行試合を誘致することに成功したからだ。結局、このゲームは1万4453人もの観衆を集めることになった。しかし、そこには簡単にはいかない状況と、それを救った女子サッカー界のレジェンドの存在があったという。

「行政からも良い試合を招待してほしいということで、男子は観客数で難しいなら、なでしこのチームもあるし女子サッカーと。その壮行試合でなんとか入れてもらえないかと、日本協会へ出向いて県協会や行政の人と頼んだ。1週間くらい前までチケットの売れ行きが良くなかったが、協会からは1万人は入れて欲しいと相当なプレッシャーがあった。試合の4日前くらい、(香川県)丸亀の試合で澤さんが点を取って勝った。それが全国放送されてから一気に(売り上げが)伸びた。チケット担当と毎日話していたので、そこにもドラマはあったんですよね。新しいスタジアムが満員になった姿を見た時に、これで長野にもサッカーの文化が来たと」

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