ブンデスリーガが愛される理由 ドイツ人ファン証言「優勝争いに緊張感はないけど…」

ブンデスリーガには、シャルケのテデスコ監督を始め、若い監督が多い【写真:Getty Images】
ブンデスリーガには、シャルケのテデスコ監督を始め、若い監督が多い【写真:Getty Images】

有能な若手監督が活躍「戦術的にチャレンジしていてワクワクする」

 そして若さが魅力なのは選手だけではない。若手指導者のトムは監督に目を向ける。

「僕的に興味深いのは、やっぱり若い監督が多いってところだね。ナーゲルスマンにテデスコ、ヴォルフもそう。戦術的にいろいろとチャレンジしているし、ワクワクするよ。新しい視点が見られて勉強になるしね」

 データ分析や戦術理解に優れた若手監督が新しいサッカー感をもたらそうとし、その戦いをクラブがしっかりとサポートする――。閉塞感を突き破ろうとするこうした闘いは、とても勇敢で、興味深いチャレンジであり、ホッフェンハイムを2シーズン連続で上位に導くユリアン・ナーゲルスマン監督(30歳)も、シャルケを復活させたドメニコ・テデスコ監督(32歳)も、シュツットガルトを1部に昇格させ今季途中まで率いたハネス・ヴォルフ前監督(37歳)も、それぞれがしっかりと結果を残してきた。

 ドイツ人のサッカーファンも、一人ひとりが独自の意見を持っているが、筋金入りのフライブルクファンであるエリックは、ファンの思いをこう代弁してくれた。

「ブンデスリーガは今でもとても魅力的だよ。何よりスタジアムの雰囲気は、いつだって文句なしに素晴らしい」

 優勝、来季のCLやELの出場権、そして残留と、リーグ内には様々な争いがある。自分が応援しているチームがどの位置にいたとしても、スタジアムでファンとチームが一丸となって作り上げるあの一体感は格別だ。

 それはブンデスリーガというトップレベルの舞台だけではない。小さな村や町クラブによる下部リーグの試合であっても、たとえ観客が100人足らずであっても、そこには喜びとサッカーへの愛があふれているのだ。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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