ロシア、W杯開催は赤字試算? スタジアムは“負の遺産”か、国家予算から補填も
W杯開催へ、ロシア国家予算から8000億円超を投資 横領や使途不明金などの問題が発生
6月にロシアで4年に一度のサッカーの祭典「ワールドカップ」が開催されるなか、ホスト国ロシアは8年の歳月を準備に要した。新スタジアムの建設やインフラの整備などに巨額の費用を投資しており、ロシアにとっては一大イベントになる。だが、ロシア紙「versia」は大会後の維持費なども含めて、「ロシアはどれだけ損をするのか」と特集。大会後のスタジアム維持費などを考えると赤字が予想されている。
「W杯の費用が高すぎるという議論は開催が決定した直後からあった」と報じるのはロシア紙「versia」だ。例えば、サンクトペテルブルク・スタジアムの建設費は67億ルーブル(約116億円)から480億ルーブル(約837億円)まで7倍以上に膨れ上がった。結局、不明金があまりに多く起訴されたが、国民はその事実に驚かなかったという。
サンクトペテルブルク・スタジアムだけでなく、カリーニングラード・スタジアムも7億5200万ルーブル(約13億円)の使途不明金が横領として起訴された。サマラ・アレーナでも25億ルーブル(43億円)が消え、ロストフ・アリーナでも横領があったと記されている。
W杯ロシア大会組織委員会の委員長を務めるアレクセイ・ソローキン氏によると、国家予算から4800億ルーブル(約8300億円)が支出されたという。巨費が投じられたスタジアムは怪しい目を向けられているなか、コンサルティング会社がW杯に向けて建設されたスタジアムを分析。そこで一番の問題として指摘されたのは、あまりにも大きすぎるサイズだった。FIFA(国際サッカー連盟)の条件に見合ったスタジアムとはいえ、大会後の運営は大きな課題として残る。
「例えば、2002年のW杯で使われたソウルのスタジアムは、今では最大でも35%しか集まらない。サッカーが国民の魂であるブラジルでも、一試合当たりのスタジアムの総収容集客率があまり高くない。ロシアもそうなるだろう」