ローマ監督に“悪魔の囁き”? バルサ封じの策をリバプールにもぶつけた不可解な乱心

CL準決勝第1戦でリバプールに2-5惨敗 ディ・フランチェスコ監督の采配ミスは明らか
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦、敵地アンフィールドに乗り込んだASローマは2-5と敗戦。終盤の2ゴールでホームでの第2戦に望みを残したものの、一時は0-5と大差をつけられていた。5点差で終わっていたら絶望的だった。
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ローマの敗戦は采配ミスと言っていい。リバプールに対して3-4-2-1の布陣からハイプレスを敢行したのは、完全に裏目だった。準々決勝の第2戦でバルセロナに完勝(3-0)したのと同種の戦術をぶつけたわけだが、リバプールはバルサではない。
バルサ相手のハイプレス戦法はズバリ的中していた。バルサの後方からのビルドアップをプレスではめ込み、ロングボールを蹴らせて回収している。ボール周辺をマンマークで抑え込んだプレスに強度はあったが、ポイントはロングボールを選択させたことだ。何がなんでも奪おうとすれば、バルサのパスワークでかいくぐられる危険性がある。プレスはするが不用意には飛び込まず、パスコースを塞いでロングボールを蹴らせた。ローマの3バックは、バルサの2トップ(リオネル・メッシ、ルイス・スアレス)に対して圧倒的な空中戦の優位性があり、ボールの回収は容易だった。
そして攻撃では、ラフにスペースへ蹴って競走に持ち込んだ。フィジカルコンタクトにおいてもローマは有利だった。バルサに技術を発揮させず、フィジカルコンタクトと高さという自分たちの武器を前面に押し出して完勝した。しかし、リバプールはバルサとは全く違う相手なのだ。
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。