【データ分析】ハリルJ「最終戦」で拭えなかった疑念 “チグハグ感”が解任の決定打に?
パスデータはウクライナの数値を軒並み下回る
[DATA-3]を見れば分かるとおり、この試合の守備データは必ずしも悪くない。守備、攻撃、空中戦、地上でのチャレンジと、全てにおいて日本の勝率がウクライナに勝っていた。ドリブルの成功数やタックル成功数では多少負けていたが、わずかな差でしかない。
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相手陣内でのインターセプトやルーズボール奪取数は日本の方が多かった。前半は高い位置からボールを奪いに行くことができていなかったが、試合を通して守備のデータはマリ戦から改善されていた。
それではマイボール時、すなわちパスに関するデータはどのような変化を見せたのだろうか。マリ戦の反省から単純に蹴りこむのではなく、つなぐべきところでつなぐ意識はプレーデータに反映されていたのだろうか。
試合を通して「蹴れ」という声が多かったマリ戦。その試合のボールポゼッションは54%対46%と日本が上回っていたが、続くウクライナ戦では[DATA-4]のとおり、43%対57%とかなり低くなっていた。オープンプレーにおけるポゼッション数自体は100対103とほぼ同数だったが、日本は10秒以下のポゼッションが多く、20秒~45秒という長い時間持つプレーはウクライナの半分以下の数字だった。
種類別に見たパスのデータでも、ウクライナの方が多くの項目で高い数値が出ていた。[DATA-5]で示したとおり、例えば1試合を通した縦パス、横パス、オープンプレーからのパス、ペナリティーエリアへのパス、ミドルゾーンへのパス、アタッキングゾーンへのパス、ロングパス、クロスなどはいずれもウクライナの方が成功率は高い。
ハリルホジッチ監督がチームに求めていた相手最終ラインの裏を狙うパスの多くは、長い縦パスがベースとなる。そのロングパスの本数も成功率も日本の方が低い。縦パスも同様だ。そして単純に裏へのパスだけを狙うのではなく、状況に応じてつなぐことを試みたが、最も頻度の高いミドルパスは日本の305本に対してウクライナは413本、成功率も日本が78%でウクライナ89%と、10%以上も下回るものだった。このデータを見る限り、日本の本来のストロングポイントだったパスプレーもできていない状態だった。