【データ分析】ハリルJ「ラスト2戦」の真実 マリ戦で見えた“アフリカ対策”の意図と問題点
満足な数値を残せなかったデュエルの勝率
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マリ戦においては、デュエルの強調路線を継続しながらも、アフリカのチームにありがちな守備の組織力欠如を突くためにポゼッションからの崩しを試みた。そのための役者として起用されたトップ下のMF森岡亮太(アンデルレヒト)、ボランチのMF大島僚太(川崎フロンターレ)が、どのように機能したかは一つの注目ポイントだ。
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また、アフリカ勢は高い身体能力を持つため、自陣ゴール前にボールを運ばれると何が起こるか分からないという懸念がある。そのリスクマネジメントから、日本はこの試合で高い位置からの守備を試みた。約6カ月ぶりに代表に復帰したFW宇佐美貴史(デュッセルドルフ)の再評価、そして現在ベルギーでプレーしているFW久保裕也(ヘント)といったサイドアタッカーの裏への飛び出しからの攻撃は、この日の日本代表が意図したプレーだ。そして、この2試合においては切り札としてFW中島翔哉(ポルティモネンセ)を試合途中に投入、ポジティブな変化をもたらすことを期待してボールを彼に集めるよう指示を出していた。こうした監督の意図した戦術は、実際にデータに反映されていたのだろうか。
デュエルという単語自体は高強度という意味で、ハリルホジッチ監督の話す文脈では「球際の強さ」という意味合いで使われていた。球際の強さという主観的な言葉を、それぞれのチームの選手が、対面の選手に対して行ったチャレンジの回数とその勝率から、達成できていたかを見ていこう。
[DATA-1]で示した日本の攻撃におけるチャレンジは、マリの守備におけるチャレンジだ。まず攻撃に対するチャレンジが、日本の75回に対してマリの攻撃は98回とその回数で負けている。さらに75回中30回の勝利に対してマリは98回中52回の勝利と、勝利数において7割以上も上回られている。
比較的分かりやすいデュエルの指標として、空中戦と地上におけるチャレンジ(腰から下の競り合い)がある。空中戦に関しては勝率が日本の48%に対してマリ52%と、ほぼ五分だ。しかし、空中戦はゴール前に放り込んだボールに対して発生することが多いプレーで、攻撃側の後方からのロングボールに対してディフェンダーが競り勝つことが多い。日本がポゼッションからの崩しやサイドの裏へのボールを狙っていたことから、空中戦の多くは日本のゴール前で発生したことになる。その状況下で五分の勝率というのは、決して十分な数字ではない。地上戦においては、123回の機会のうち日本の勝率42%に対してマリの勝率は58%だった。デュエル路線の継続を強調していた割には、この数字は満足のいく結果とは言い難い。