【データ分析】ハリルJ「ラスト2戦」の真実 マリ戦で見えた“アフリカ対策”の意図と問題点
【欧州遠征の真実|前編】“仮想セネガル”のマリ相手に仕掛けたハリルホジッチ監督のチャレンジ
4月9日、バヒド・ハリルホジッチ日本代表監督の解任と、技術委員長を務めていた西野朗氏の後任監督就任が併せて発表された。日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長からは解任理由についての説明が行われ、ハリルホジッチ監督と選手間のコミュニケーション上の問題、本戦での勝利の可能性を少しでも高めるためといったことが解任の主な理由とされた。
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それがJFA側の本音なのか、建前なのかは分からない。だがハリルホジッチ体制のラストマッチとなった3月のマリ、ウクライナとの欧州遠征2連戦を見れば、日本サッカー史上初となるワールドカップ(W杯)予選後の解任に至った“何か”が見えてくるかもしれない。
分析を行う前提として、まずはW杯本大会まで約3カ月というタイミングで組まれた試合の位置づけについて考えたい。一般論で言えば、怪我やコンディション不良による未招集選手を除けば、8割方は本番仕様のメンバーを招集し、本大会のグループリーグで戦う相手を想定したチームと戦い戦術の確認を行うのが、W杯出場国がこの時期にテストマッチを実施する最大の目的だろう。
ハリルホジッチ監督は3月23日のマリ戦、27日のウクライナ戦で先発メンバーを8人も入れ替えている。中3日での連戦はW杯本大会の第2戦と第3戦の間と同じ間隔だが(第1戦と第2戦の間は中4日)、今遠征の2試合は同じベルギーのリエージュ開催。移動距離が少ない分、この遠征の方が選手のコンディションは良いはず。そうしたなかでも大半のメンバーを入れ替えたのは、本番に向けたテストというより、ハリルホジッチ監督がいまだ選手選考で頭を悩ましていたのか、ここまで築き上げてきたスタイルを変えて戦うためにメンバーを変えなくてはいけなかったのか、そのどちらかだったと考えられる。
2試合とも先発に名を連ねたDF長友佑都(ガラタサライ)、DF槙野智章(浦和レッズ)、MF長谷部誠(フランクフルト)を当確メンバーと仮定し、その他当落線上のメンバーで“仮想セネガル”のマリ、“仮想ポーランド”のウクライナといかに戦ったのか。データから分析してみたい。