「フリット」か「グーリット」か 外国人選手名の表記と発音を巡る“永遠の難題”
「スールシャール」か「ソルスキア」か
日本でも中国人選手の名前はそのまま漢字表記していて、読み方は日本語の発音で読んでいることが多い。かつてマンチェスター・シティで130試合もプレーしたDF孫継海も、日本では「スン・チー・ハイ」だったり「ソン・ケイカイ」だった。同じ漢字を使っていながら読み方が違うので、少しややこしい。
アルファベットを使っている欧米でも、やはり国によって読み方は少々異なる。日本語と中国語ほどは違わないが、フリットはイタリアでは「グーリット」、ファン・バステンは「ヴァン・バステン」だった。
では、フランス人のアンリがイングランドで「ヘンリー」と呼ばれていたかというと、これはそのままアンリなのだ。プティも「ペティ」ではなかったし、英国は出身地の読み方をそのまま使ってくれるのかもしれない。ただ、オランダ人のオーフェルマルスは「オーバマルス」と呼ばれていた。同じオランダ人でも「ファン・ペルシー」は「ヴァン・ペルシー」ではなかったので、基準がよく分からない。スペインではファン・ハールではなく「ヴァン・ガール」だった。そもそもオランダ語の「G」が、発音しにくいのが原因だろうか。
もっとも一番厄介なのは、外国人選手の名前を日本語に表記することかもしれない。
マンチェスター・ユナイテッドで活躍したノルウェー人、スールシャールは「ソルスキア」と表記されたこともある。そのままアルファベットを英語風に読んでみたのだろうが、どうもそうではないというので英国人に聞いたら「スーシャーかな」という答えだった。
カタカナにする場合に躊躇するのが、「ン」で始まる名前である。アフリカ人に多い「N」で始まる名前で「ンドラム」、「ンゴッティ」という選手がいた。どちらもフランスでプレーしたので覚えているのだが、フランスでの発音は「エンドラム」「エンゴッティ」だった。「M」始まりの選手名もだいたい同じで、Jリーグでもプレーしたエムボマは「ムボマ」ではない。同じく、ムバッペは「エムバペ」、あるいは「エンバペ」になるはずだ。